ソロモン王は全イスラエルから役務者(H4522)を徴用した。役務者(H4522)は三万人であった。ソロモンは、彼らを一か月交代で一万人ずつレバノンに送った。一か月はレバノンに、二か月は家にいるようにした。役務(H4522)長官はアドニラムであった。
列王記第一5:13-14
ソロモンは
神殿建設のために
全イスラエルから「役務者」を徴用しました
「役務」
日本語では
「他人のために行う労務やサービス」を意味しますが
この言葉からは あまりネガティブな印象は受けません
ここで言われる「役務」は
神殿を建てるという良き働きですので
それは 当然のことかもしれません
しかし
「役務」は
本来は イスラエルは免除されるべきものでした
9章では
ソロモンは 主の宮と自分の宮殿を
築き直していますが(9:15参照)
そのための「役務」に召集したのは
イスラエル人でない人々でした
イスラエル人ではない、アモリ人、ヒッタイト人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人の生き残りの民すべて、すなわち、この地に残されていた人々、イスラエル人が聖絶できなかった人々の子孫を、ソロモンは強制(H4522)労働に徴用した。今日に至るまで、そうである。
列王記第一9:20-21
そのような原則があったものですから
5章で
イスラエルに課せられた「役務」は
継続的ではなくシフト制となっています
3ヶ月ごとに1月
つまり年に4ヶ月が
定められた期間でした
ただ
年に4ヶ月と言っても
神殿の完成までは
7年もかかりましたので(6:38参照)
結局、2年以上に「役務」にあたらなければいけませんでした
また
この「役務」という言葉が
他の箇所では
「労役」(出1:11参照)
「苦役」(創49:15, 申20:11, ヨシ17:13, 士1:28, 1:30, 1:33, 1:35, イザ31:8, 箴12:24, 哀1:1, エス10:1, Ⅱ歴8:8参照)
「強制(労働)」(ヨシ16:10参照)と訳されていることを思うと
決して気楽なものではなかったとわかります
ソロモンの死後
レハブアムの時代に
全イスラエルは
「あなたの父上は、私たちのくびきを重くしました。今、あなたは、父上が私たちに負わせた過酷な労働と重いくびきを軽くしてください。そうすれば、私たちはあなたに仕えます。」
と訴えましたが
そのことの背景には
このような事情があったのでしょう
良き目的のために始められた「役務」が
徐々に負担が増していき
民衆を圧迫するようになっていたことは
とても皮肉なことです
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