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執筆者の写真おいまつ÷のぞむ

ローマ人への手紙16:7

私の同国人で私といっしょに投獄されたことのある、アンドロニコとユニアス(別訳「ユニア」(女性))にもよろしく。この人々は使徒たちの間によく知られている人々で、また私より先にキリストにある者となったのです。(新改訳第三版)

私の同胞で私とともに投獄されたアンドロニコとユニア(別訳「ユニアス」男性)によろしく。二人は使徒たちの間でよく知られており、また私より先にキリストにある者となりました。(新改訳2017)

注目していなければ

気づかないと思いますが

第三版と2017では

本文と脚注が入れ替わっています


第三版では

「ユニアス」という男性名が有力だとされていたのに対し

2017では

「ユニア」という女性名の方を本文として採用しています


聖書協会共同訳も 同様に「ユニア」という女性名で訳されています

私の同胞で、一緒に捕らわれの身となったことのある、アンドロニコとユニアによろしく。この二人は使徒たちの間で評判がよく、私より前にキリストを信じる者となりました。



それでは

このような わずかな差が

聖書の理解に どのような違いを

もたらすのでしょうか?


そのことを考えるために

参考になるのが

フランシスコ会 聖書研究所 訳です

わたしの同胞で、ともに囚われの身になったことのあるアンドロニコとユニアによろしく。この二人は使徒たちの間で目立っており、わたしより先にキリストを信じる者となったのです。

この訳では

アンドロニコとユニアの二人が

「使徒」と呼ばれているように

読めます




このような捉え方は

決して珍しいものではなく

F. F. ブルースも ティンデル聖書注解(原書 1985年)で

次のように述べています


...ユニアスとはほかでは呼ばれていないので、女性形のユニアのほうが良い。...彼らは「使徒たちの間によく知られている人々」で、おそらく単に使徒たちに知られていただけではなく、彼ら自身が使徒であり(パウロ書簡では、その語は広い意味で用いられている)、卓越した存在であった。

ローマ人への手紙』p. 273-4より




また C. E. B. クランフィールドは

註解 ローマの信徒への手紙』(原書 1979)の中で

さらに 突っ込んで 以下のように述べています


パウロが使徒たちの中に女性[ユニア]を含めるだけでなく、「彼らは使徒たちの中で優れており(who are outstanding among the apostles)」と ーアンドロニコと一緒にー 彼女について述べている事実は(彼がこの章において、フェベ、プリスカ、マリア、トリファイナ、トリフォサ、ペルシス、ルフォスの母、ユリアとネレウスの姉妹を重んじている事実と共に)パウロは女性を低く見なしたという広く行き渡ったまた頑固で変わらない意見・考えが誤りであることを ーまた教会が全体としてこれまであることに[すなわち、初期の教会における女性の働き・身分についての問題に]正当に注意を払ってこなかったその誤りを ー はっきり示す非常に重要な証拠である。



「ユニアス」と「ユニア」


カタカナ、たった一文字の差ですが

それだけで こんなに捉え方が変わるとなると...

聖書解釈は 奥深く 難しい営みなのだと

つくづく思わされます

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