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執筆者の写真おいまつ÷のぞむ

ねたみ?

更新日:2020年3月16日

最近

メッセージの中で

「ユダヤ人は ねたみの故にイエス様を 殺しました」

と 聞くことが 何度かありました


そのことは

子供の頃から

幾度も 聞かされてきたことですが

ふと「何処に書かれているんだろうか?」

と 気になったので...

調べてみました




すると

たしかに ありました↓


ピラトは、彼らがねたみ(G5355)からイエスを引き渡したことを知っていたのである。

マタイの福音書27:18


ピラトは、祭司長たちがねたみ(G5355)からイエスを引き渡したことを、知っていたのである。

マルコの福音書15:10




ただ

たったの2節だけ...


しかも

ここでの主語は ユダヤ人全体というよりも

「祭司長たち」です


そして

福音書には

イエス様を 十字架にかけたユダヤ人のうちに

「ねたみ」が 渦巻いていた

と 記されている箇所は

他にはありません




つまり

「ねたみ」は

パリサイ人、律法学者を含めたユダヤ人たちを 突き動かす 主たる動機だったと

聖書自身は 明言していないのです

(もちろん 彼らのうちに ねたむ思いは働いていたでしょうが...)







それでは

何故 この ねたみが

教会の中で

ことさらに強調されるようになったのでしょうか?


たしかなことは言えません




しかし

使徒の働きのユダヤ人の態度から

「ユダヤ人」=「ねたみにかられた人々」というイメージが 作り上げられていった...

と考えるのは あながち的外れでもないでしょう




そこで、大祭司とその仲間たち、すなわちサドカイ派の者たちはみな、ねたみに(G2205)燃えて立ち上がり、

使徒の働き5:17


しかし、この群衆を見たユダヤ人たちはねたみ(G2205)に燃え、パウロが語ることに反対し、口汚くののしった。

使徒の働き13:45


ところが、ユダヤ人たちはねたみに駆られ(G2206)、広場にいるならず者たちを集め、暴動を起こして町を混乱させた。そしてヤソンの家を襲い、二人を捜して集まった会衆の前に引き出そうとした。

使徒の働き17:5




ただ

注意しなければいけないのは

ここで「ねたみ」と訳されている言葉の

ニュアンスです


ギリシャ語の辞書には

「ねたみ」という名詞の意味が

次のように記されています


❶intense positive interest in something, zeal, ardor
...
❷intense negative feelings over another's achievement or success, jealousy, envy
...

つまり

この言葉は

ポジティブにも ネガティブに取りうるもので

文脈を考慮して 訳し分けられているのです


例えば

コリント人への手紙第二7:7, 7:11, 9:2, 11:2では

同じ名詞が

「熱意」「熱心」と訳されています




それは

動詞も同様で

「ねたむ」という語は

コリント人への手紙 第一12:31, 14:1, 14:39などでは

「熱心に求める」と訳されています


ちなみに

ギリシャ語訳の旧約聖書を見ますと

ピネハス(民25:11, 25:13)やエリヤ(Ⅰ列19:10, 19:14)も

肯定的な意味で ねたむ者であったことが わかります




加えて

使徒の働き21:20で

ユダヤ人からクリスチャンとなった者を指している「熱心な人たち」(G2207)も

同じ「ねたみ」という言葉から

派生したものです


使徒の働き22:3, ガラテヤ人への手紙1:14では

パウロは自分自身のことを「熱心」であったと振り返っています




このように見ていくと

使徒の働きで

ユダヤ人たちが抱いていた「ねたみ」とは

他者との比較で生まれる「嫉妬」というよりも

彼らなりの 神に対する「熱心」であったと

考えた方が 良さそうです




ローマ人への手紙10:2には

次のようにあります


私は、彼らが神に対して熱心(G2205)であることを証ししますが、その熱心は知識に基づくものではありません。

これこそが、クリスチャンに敵対していた ユダヤ人たちの姿なのです




また

イエス様は

ヨハネの福音書16:2で

こんな予告をしておられました


人々はあなたがたを会堂から追放するでしょう。実際、あなたがたを殺す者がみな、自分は神に奉仕していると思う時が来ます。

使徒の働きでは

このことが 文字通り 成就したのです







 ねたみ という 私的な感情ではなく

 熱心さ 神への奉仕という 善意によって

 キリストのからだを迫害する(使22:7参照)


それが 罪人の現実だと知る時に

心寒くなります...

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