「戦争も いい国と悪い国が戦ってると思ってた」
と 大のオトナが言ったなら
「可愛いな」と思うのではないでしょうか?
善と悪があったとしても
人間を善人と悪人に はっきり分けることなど出来ない
そんなことは 「オトナ」の常識です
でも
信仰的な事柄においては
意外と
二元的な見方は
根強いように思います
私も 例外ではありません
高校教科書レベルの知識しかなかったのにもかかわらず
長い間
プロテスタントとローマ・カトリックを
非常に単純化された図式で捉えていました
旧態依然...伝統に固執してしまったカトリックと
革新的で 核心的な部分をついたプロテスタント
そんな構図を無邪気に信じていました
でも
よくよく考えたら
高校の教科書に出てくるザビエルも キリシタンも
皆 ローマ・カトリックなんですよね
プロテスタントは
当時は 日本宣教どころではありませんでした
一方では
ザビエルたちには 親しみを感じつつ
一方で
カトリックには拒否感を覚える
という不思議な思考に陥っていたんですが
その辺りは
未整理なままでした
『宗教改革小史』は
いい具合の分量の入門書ですが
決して苦もなく読める本ではありません
キリスト教史の基礎知識が 無かったなら
きっと何度も つっかえることでしょう
けれども
その経験自身が
ふさわしく思索していくための
良き訓練になるはずです
というのも
歴史を辿ることは
もともと複雑な営みだからです
例えば
ローマ教皇に
権威が集中していることを
プロテスタントは
諸悪の根源のように語る嫌いがありますが
これも
教会の一致と世俗の権力からの独立を確保するための手段であった
と 知るならば
無碍に否定することが出来なくなります
この本を読んで
「こんな生き物の血が流れているのが
無性に憎くなった」
とは思わないでしょうが
誇り高き群れに属しているという幻想からは
解かれるはずです
手に取っていただきたいものです
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