まずイギリス人は小さな本、というか、簡潔な入門書を作るのが好きであるということ。別にずっと昔からというわけではないが、私の勘ではおそらく一九世紀の末(明治の中頃)あたりから、イギリス人はしきりと小型の入門書を作り始める。その第一の目的は成人教育であった。経済的な余裕にめぐまれない殊に若い人々の向学心に応えて、さまざまな分野の新しい知識を分かりやすいかたちで、安価に提供するというのがその目的であった。...そうした歴史的な事情を少し思い返してみると、オックスフォード大学出版局が実にバラエティーに富む《超短イントロ・シリーズ》を今刊行するというのも、イギリス人の大好きな恒例の行事のひとつということになるのかもしれない。しかし、二一世紀がスタートしたばかりの今、まるで狙いすましたかのようにこのようなシリーズを刊行することには、それとは別の理由も考えられる。それは、直前の二〇世紀がすべての面において稀に見る激動の時代であったということだ。
富山太佳夫「これから、どうする」ジョナサン・カラー著『文学理論』p.198-9より
『イエス入門』(教文館, 2013)も含まれているVery Short Introductionsについての解説
この文脈に置いてみるなら『イエス入門』の見え方も また少し違ってみるかもしれません
ちなみに
このシリーズ
「〈一冊でわかる〉シリーズ」という名で
岩波書店から 邦訳出版されているのですが
何故か 『イエス入門』は含まれなかったようです笑
『聖書』は2004年に
『ユダヤ教』は2003年に
出版されているんですけどね
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