『結婚の意味』を読んだ時にも感じたことですが
ティモシー・ケラーは
自分自身と自分の群れの偏りに
自覚的ですね
結婚について語る時は 独身者の立場に立って考え
自らはホワイトカラーでありながら ブルーカラーへの配慮を怠らない
そんな 彼のバランス感覚は
この本全体に 生かされています
成功主義にも よらず
敗北主義にも よらず
分離主義も選ばず
聖書の語るリアルな労働観を
立体的に描き出そうとしています
ただ 「この世界」と「働き」の複雑さに
真正面から向き合っていますので
決して 簡単な書物ではありません
むしろ
仕事をしながら
余裕のない中で
読みこなすのは
なかなか苦労するでしょう
だからこそ
就職前に
手に取ってもらいたい 一冊ですね
働き始めて 逆境や虚しさに ぶち当たった時に
帰ってこれる本になることだと思います
また
社会人同士で
この本の分かち合いが出来ると良いですね
上にも記しましたように
ケラーは
自身の教会の事情を 意識して
その現実に応えるために この本を書いていますので
私たちの日常との間には
どうしてもズレがあります
頭では理解できても
なかなかピンとこない部分もあるでしょう
それを
私たちの現場に落とし込んでいくために
月に一回でも時間を取って
一章ずつ じっくり読み進めていけたなら
実りの多い学びになると思います
信仰と仕事の統合は、二元性の反対です。私たちは、ノンクリスチャンの文化や仕事の世界に深くかかわる気持ちを持つべきです。罪に対する深い見識があれば、明らかにキリスト教的な仕事や文化の中にも、いつも何かしらの偶像礼拝的な話があることを忘れません。一般恩寵に対する深い見識があれば、明らかに非キリスト教的な仕事や文化の中にも、いつも何かしら神の真理を証しするものがあることを忘れません。クリスチャンは、自分の正しい信仰が語るほどの善なる存在には決してなりません。またノンクリスチャンは、自分の間違った信仰で語られるほど、悪い存在にも決してなりません。だから私たちはあらゆる職場において、人間の文化とその表現とを吟味しながら受け入れる姿勢を持つのです。不十分な真理の存在を認識し、偶像に抵抗することを学び、私たちの生活のすべての側面に見られる正義・知恵・真理・美の現れを見出し祝福することを学ぶのです。そして文化とどうかかわるべきかという問題に対する福音や聖書の教えを理解することで、最終的に私たちクリスチャンを同僚や隣人の仕事の背後にある神の手のわざを、最も感謝する者へと導いてくれるのです。
『この世界で働く ということ』pp.267-8より
【関連書籍】
ポール・マーシャル著『わが故郷、天にあらず』
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