なお、独立革命期には、いずれの国家勢力にも加担せずに、新約聖書の求める絶対平和をそのまま実践しようとした人々もあった。クエーカーやメノナイトに属する人々である。彼らのうちには、徴兵に代わる重税を科せられた人々もあり、ペンシルヴェニアでは逃亡して来たイギリス兵を助けた廉で投獄されたクエーカー教徒もいた。ワシントン将軍は、彼らの訴えを受けて、懲役期間や税額を減免する措置を取っている。これらの例は、アメリカの歴史にも建国以来、「アメリカ」と「キリスト教」とを同一視しない健全な信仰をもった人々の群れがあったことを示している。信教の自由は、彼らにとっては良心的兵役拒否の自由をも含んでいなければならない。ロードアイランドやペンシルヴェニアでは植民地時代からこの自由が認められていたが、それはやがてニューヨークやデラウェアやヴァモンとの州憲法にも明記される権利となっていった。
『アメリカ・キリスト教史』p.67より
20世紀になるまで
クエーカーやメノナイトが
アメリカのキリスト教の「主流派」になることは
なかったでしょう
思想的にも、人数的にも
彼らは 傍流だったはずです
しかし
そんな彼らだったからこそ
体制側の盲点を突くことができました
社会のあり方を問い
改革に寄与しました
そして
20世紀の後半には
ジョン・H・ヨーダーをはじめメノナイトの学者が
活躍の場を広げ始めました
日本でも
1980年代に
C.ノーマン・クラウス, 家名田弘 編『伝道・福音派・福音主義』
という本が出版されましたが
これは メノナイトの視点から
当時の教会を 論考する 非常にユニークな書物です
また
ロナルド・J・サイダー著『飢えの時代と富むキリスト者』が
日本の福音派にもたらしたインパクトは
相当のものだったと聞いています
クエーカーについては
私は あまり知りませんが
いのちのことば社から出ている『いのちの声に聴く』は
クエーカーの実践を垣間見ることのできる
興味深い本です
独自の路線を歩んでいるからこそ
果たせる貢献がある という事実は
ブレザレンに属す者として
心に留めておきたいものです
【関連書籍】
森本あんり著『異端の時代』
グレース・ハルセル著『核戦争を待望する人びと』
松本佐保著『熱狂する「神の国」アメリカ』
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